世界の締結部品規格を一気に理解:なぜこんなに種類が多いのか?違い・用途・選び方を解説
- 翰君 陳
- 2 日前
- 読了時間: 5分
ネジ、ナット、ワッシャー、止め輪、ダウエルピンを探すと、DIN、ISO、JIS、ANSI、ASTM、CNS、GB、BS、AS…といった数多くの規格が登場します。
「なぜこんなに規格が多いのか?」「どこが違って、どう選べばよいのか?」
この記事では、世界の締結部品規格の由来・違い・用途をわかりやすく解説します。
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1. なぜ締結部品に規格が必要なのか?
締結部品は「組み合わせ部品」です。ネジはナットと、ワッシャーは穴径と組み合わせて使用します。ピッチや寸法が少しでもズレると:
入らない
ネジ山が破損する
固着して外れない
互換性がなく修理できない
装置が破損する
そのため、規格は「互換性・修理性・互通性・量産性」を確保するために存在します。
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2. なぜこれほど多くの規格が存在するのか?
工業化の初期、それぞれの国が自国の産業事情や技術習慣に基づき個別に規格を制定しました。
その結果、欧州、米国、日本、台湾など、各国で異なる規格体系が生まれました。
同じ「ネジ」でも国によって名称・寸法・公差が異なるのはそのためです。
ISO は世界規格の統一を目指しましたが、各国は依然として独自規格を使用しているため、現在のように複数規格が併存しています。
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3. 世界の主要な締結部品規格の紹介
以下では、世界の締結部品規格を5つのカテゴリーに分けて説明します。
(1)国際規格 International
ISO(国際標準化機構)
世界で最も広く使用されている規格。多国籍設備で採用され、部品の互換性を高め、保守や調達を容易にします。多くの国が ISO を自国規格の代わりとして採用しています。
(2)欧州規格 Europe
DIN(ドイツ)
台湾で最も一般的な規格。精度が高く、種類も豊富。工作機械・自動化設備で主流。
EN(欧州連合)
欧州統合後に制定された統一規格。DIN / ISO と高い互換性を持つ。
UNI(イタリア)
食品加工・包装機械でよく使われる。ISO と互換性があるが独自性も残る。
NF(フランス)
フランス製設備に使用。一部は EN/ISO と統合。
BS(英国)
世界最古の工業規格のひとつ。古い英国設備では現在も多く使用。
(3)米国規格 United States
ANSI(米国規格協会)
インチを基準とした米国主流の規格。アメリカの機械・建築で広く使用。
ASME(米国機械学会)
機械、幾何公差、圧力容器、配管などに関する専門規格。
ASTM(材料試験協会)
材料特性(強度、耐食性、熱処理など)を規定する。高強度ボルトや鋼材で頻出。
SAE(自動車技術者協会)
自動車用ボルト規格(Grade 5、Grade 8)。
IFI(締結部品工業会)
ネジ・ナット・ワッシャーの寸法を定義する専門規格。
(4)アジア規格 Asia
JIS(日本工業規格)
アジアでもっとも広く使われる精密規格。電子機器・工作機械・半導体設備で主流。
CNS(台湾)
JIS / ISO と連動し、台湾工業の使用習慣に合わせ調整。
KS(韓国)
JIS 系統で高い互換性。
IS(インド)
一部 ISO と互換性があるが独自特徴も持つ。
(5)その他の重要規格
GB(中国)
中国設備で最も一般的な規格。DIN / ISO に近いが微妙な違いがある。
GOST(ロシア)
ロシアや東欧で使用。外観・公差が欧州規格と異なり互換性が低い。
AS(オーストラリア)
BS/ISO に近く、建築・鋼構造で使用される。
規格 | 国/地域 | 特徴 | 主な用途 |
ISO | 国際 | 世界で最も広く使用される | 工場、自動化設備 |
DIN | ドイツ | 台湾で最も一般的・高精度 | 工作機械、自動化 |
EN | 欧州連合 | DIN/ISO に近い | 欧州製設備 |
UNI | イタリア | 食品加工・包装ラインで使用 | 欧州生産ライン |
NF | フランス | EN/ISO と統合 | フランス設備 |
BS | イギリス | 最古の工業規格の一つ | 英国製設備 |
AS | オーストラリア | BS/ISO に近い | 建築、設備 |
ANSI | アメリカ | 米国主流規格(インチ系) | 工場、建築 |
ASME | アメリカ | 配管・機械幾何の規格 | 産業設備 |
ASTM | アメリカ | 材料・強度の標準 | 鋼構造、ボルト |
SAE | アメリカ | 自動車用ボルト等級 | 自動車産業 |
IFI | アメリカ | 締結部品専用規格 | ネジ、ナット |
JIS | 日本 | アジアの精密設備で主流 | 3C 電子機器、工作機械 |
CNS | 台湾 | JIS/ISO と連動 | 台湾国内設備 |
KS | 韓国 | JIS 系統 | 工作機械、家電 |
IS | インド | 一部 ISO と互換 | インド製設備 |
GB | 中国 | 中国製輸出設備で一般的 | 中国機械 |
GOST | ロシア | 互換性が低い | ロシア系設備 |
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4. 規格はどこが違うのか?
ネジ規格が互換できない理由は以下の通り:
ミリ vs インチ
M6 ≠ 1/4"
ピッチの定義が異なる
Metric = ピッチ(mm)UNC/UNF = TPI(山数)
強度等級が異なる
8.8 / 10.9 / 12.9 vs Grade 5 / Grade 8
頭部形状寸法が違う
例:DIN 912 と ISO 4762
公差が異なる
同じ M6 でも許容値が違う。
0.1mm の違いで破損につながる場合があります。
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5. 規格ごとの主な使用産業
規格 | 主な産業 |
ISO | 国際設備、自動化 |
DIN | 工作機械、自動化 |
JIS | 電子、精密機器 |
ANSI/ASME | 米国設備、建築 |
ASTM | 鋼構造、高強度ボルト |
SAE | 自動車 |
CNS | 台湾設備 |
GB | 中国設備 |
GOST | 旧ロシア系設備 |
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6. 必要な規格を見分ける方法
ミリかインチか確認
設備の製造国を見る
ネジ頭部の刻印・規格番号を確認
ネジ/ナット/ワッシャーは同じ規格で統一
不明な場合は写真+寸法で供給業者に相談
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