ISO・JIS・DIN・ASME は何が違う?
- 翰君 陳
- 3 日前
- 読了時間: 6分
グローバルねじ規格の入門ガイド
世界中の設備でねじ・ナット・ワッシャー・止め輪・位置決めピンなどが共通して使えたり、置き換えや修理ができるのは、「規格」があるからです。
しかし世の中には多くの規格が存在し、その中でも特に頻繁に登場するのがISO・JIS・DIN・ASME の 4 つです。
この記事では、この 4 大規格の成り立ち・違い・使われ方をわかりやすく整理し、今後、部品を「選ぶ・購買する・保守する」ときに迷わないようサポートします。
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1. なぜ五金部品に規格が必要なのか?
ボルト・ナット・ワッシャー・止め輪・ダウエルピンなどの五金部品は、すべて組み合わせて使う部品です。共通の規格がなければ――
部品同士が物理的に取り付かない
メーカーが違うと互換できない
海外製の設備を修理できない
工場同士で部品を融通できない
といった問題が発生します。
産業の初期には、各国が自国の産業構造に合わせて独自に規格を作ったため、現在まで多くの規格が並立しています。
しかし実務レベルで世界市場をリードしているのは、実質的に次の 4 大規格 です。
ISO・DIN・JIS・ASME
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2. なぜ ISO・JIS・DIN・ASME の 4 つが主流なのか?
規格は数多く存在しますが、この 4 つが世界の主流となった理由は大きく 3 つあります。
(1)世界の主要な工業システムをカバーしている
ISO → 国際設備・グローバル製造・欧州系工場
DIN → ドイツおよび欧州の工作機械・自動化システム
JIS → 日本およびアジアの精密設備(3C・半導体・自動化)
ASME → アメリカの機械・建築・配管・圧力容器システム
実務上、世界の工場・設備の 9 割以上は、この 4 つのいずれかを採用していると言っても過言ではありません。
(2)規格内容が充実し、サプライチェーンの対応力も高い
この 4 大規格はいずれも:
ねじ・ナット・ワッシャー・止め輪などの詳細な規格が整備されている
公開情報が豊富で、仕様を調べやすい
MISUMI、McMaster-Carr、Bossard など世界的サプライヤーが対応
世界中の生産ラインで互換部品を入手しやすい
つまり、これら 4 つはすでに 「グローバル製造の共通言語」 となっています。
(3)規格同士の相互参照・比較・置き換えがしやすい
ISO・DIN・JIS には、多くの互換・近似規格があります(例:DIN 912 ≒ ISO 4762)。
ASME は ANSI・IFI と役割分担しながら運用されています。
UNI・NF・KS・GB などの地域規格と比べると:
4 大規格は 情報が最も充実しており、国をまたいだ比較や置き換えがしやすく、保守時のミスも少ない のが大きな利点です。
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3. 4 大五金規格の位置づけと背景
1. ISO(国際規格)|グローバル設備で最も一般的
ISO の目的はとてもシンプルです。
「世界中が同じ言語で製造・設計・検査できるようにする」こと。
特徴:
各国が共同で策定
一貫性・安全性・互換性を重視
欧州設備、自動化ライン、国際プロジェクトで広く採用
多くの国が自国規格を ISO に合わせていく流れにあります
2. DIN(ドイツ)|高精度と一貫性の代名詞
DIN は、台湾をはじめ多くの工場・輸出設備から信頼されています。その理由は:
ドイツが工作機械・精密加工の先進国であること
DIN の図面・公差・検査要求が明確かつ高精度であること
台湾がかつてドイツ製設備を大量導入してきた歴史があること
そのため、多くの現場で「標準品」と言えば、DIN 規格品 を指すことが少なくありません。
3. JIS(日本)|アジアの精密産業を支える規格
JIS がアジアで広く使われている背景には:
日本の電子機器・光学・3C・半導体産業の存在
台湾・韓国が長年、日本製設備を使用してきたこと
台湾の CNS や韓国の KS が、JIS/ISO と高い互換性を持つこと
特徴:
寸法・公差が厳格で、精密加工に適している
自動化モジュール・治具・電子機器などで多用
日系ブランドの設備では、JIS が事実上の標準であることが多い
4. ASME(アメリカ)|エンジニアリングと圧力系統の基盤規格
ASME はねじ規格にとどまらず、
機械設計・配管・ボイラー・圧力容器など、安全性の高い分野を包括的に扱う規格 です。
ポイント:
インチ系(ヤード・ポンド法)とメートル系 の両方を使用
安全率や構造強度など、工学的な観点を重視
アメリカの機械設備・建築・空調・配管・油圧システムで広く採用
一言でまとめると:
「高リスク・高い安全性が求められる設備」は、ASME 系であることが非常に多いと言えます。
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4. ASME と ANSI の関係|現場でよく混同されるポイント
エンジニアの間でも混同されがちな ASME と ANSI の関係を整理すると:
ANSI … 規格を承認・管理する側(イメージ:文部科学省)
ASME … 工学・機械分野の技術規格を作る側(イメージ:教科書を作る委員会)
実務としては:
ねじ規格(UNC・UNF など) → 主に ANSI/IFI 系列
機器の幾何公差・配管・圧力容器 → 主に ASME 系列
つまり、両者は対立関係ではなく、役割分担されたパートナーです。
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5. 4 大規格の比較表
規格 | 度量法 | コアとなる特徴 | よく使われる分野 |
ISO | メートル系 | 国際的に最も広く採用 | 自動化設備、国際プロジェクト |
DIN | メートル系 | 高精度・ドイツ工業の思想を反映 | 工作機械、自動化モジュール |
JIS | メートル系 | 高い精密度・アジアの主流規格 | 3C、半導体、日系設備 |
ASME | インチ系+メートル系 | エンジニアリング/圧力機器向け | 米国仕様の機械、建築・配管システム |
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6. どの設備にどの規格が使われているのか?
各国はそれぞれ独自の工業システムを発展させてきたため、その国で作られた設備は、基本的に自国由来の規格を採用しています。
そのため、まず 「設備がどこの国のシステムか」 を把握することが、ISO・DIN・JIS・ASME のどれが使われているかを判断する一番の近道です。
設備・産業別の規格対応表
設備/産業の種類 | よく使われる規格 | 説明 |
欧州製設備・自動化生産ライン | ISO・DIN | 欧州の工業は ISO/DIN を中心に構成されている |
ドイツ系工作機械・自動化モジュール | DIN | 台湾を含め、多くの国が歴史的に独製設備を導入 |
日本製設備・3C・電子・半導体ライン | JIS | 日系設備が多く、高精度が求められる分野で主流 |
米国仕様機械・建築設備・圧力容器/配管システム | ASME | 安全係数・構造強度が重視される分野 |
台湾国内の機械・カスタム装置 | DIN/JIS/ISO のミックス | 設備の出身国が多様 |
米国工場向け設備・OEM 向けライン | ANSI・ASME | インチねじ・米国規格部品が中心 |
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7. 規格混用を防ぐためのポイント
まず 設備の出身国(欧州・日本・米国など)を確認する
メートル系かインチ系か を最初に切り分ける
規格の違うねじを互いに代用しない
規格を混用すると、ねじ山つぶれ・かじり・破断 のリスクが高い
不明な場合:→ 写真を撮り、寸法を測り、信頼できるサプライヤーに確認するのが安全です
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8. なぜ勝豐精密(Sheng Fong Precision)なのか?
勝豐精密(Sheng Fong Precision) は、メートル系/インチ系が混在するサプライチェーン を得意としており、
設備がどの規格(ISO/JIS/DIN/ASME)を採用しているかの判別
頭部形状・ねじピッチ・寸法・公差の比較・照合
MISUMI・McMaster-Carr など海外ブランドの代替提案
規格違いによるトラブル・装置停止のリスク低減
といった面でお客様をサポートしています。
📩 LINE:@s9000「どの規格を選べばよいか」「代替品はあるか」など、少しでも迷いがあれば、お気軽にご相談ください。最適な規格と代替ソリューションをご提案いたします。

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